病気について

季節によって犬や猫などのペットがかかってしまう病気が変わっていきます。
病気を未然に防ぐために、当院では予防接種を行っています。

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 ■ 早期避妊去勢手術について

当院では子どもを産ませる予定がない場合、積極的に去勢・避妊手術を勧めています。今回は、去勢・避妊手術について、最新の情報も含めてお話ししましょう。

 獣医学の先進国アメリカではここ10数年のうちに避妊去勢手術に対する考え方がガラッと変わっています。以前は避妊去勢手術を行う時期については、オス犬の場合は8-10カ月、メス犬は4-7カ月が最適と言われてきました。 これよりも早く手術をしてしまうと成長が阻害され、病気を作ってしまうと考えられていたのです。しかし性成熟前の生後6-14週間で早くも避妊去勢手術を行うことが害を及ぼすこともなく、逆に多くの利点を持っているということがわかってきたのです。アメリカでは既にほとんどの獣医師がこの早期避妊去勢手術(英語では「early spay neuter」と言われ、「ES-N」と略されます)を採用し実践しています。残念ながら日本ではまだ一般的とまではなっていないのが現状です。

 通常の避妊去勢手術の利点
@望まない子犬、子猫の出産の防止ができる。発情周期がなくなります(残念ながら100%ではありません。最新の論文では代替卵巣が出現して卵巣子宮摘出術を行っても、再び発情がくる動物もまれにいることがわかってきました)。
Aメスでは老齢の犬、猫によくみられる子宮感染がほとんど起こらなくなります。
Bオス犬では肛門周囲腺腫や前立腺肥大症の発生率が低下します。
 ※「前立腺肥大症」:前立腺は膀胱の後ろのほうにあり、精子をつくる働きに関係しています。年をとると、ホルモンの関係で、その前立腺が大きく(肥大)なります。すると、尿の通る道(尿道)が圧迫され、尿が出にくくなってしまいます。去勢手術をすれば、ホルモンの影響がなくなるので、この病気は起こりにくくなります。
 ※「肛門周囲腺腫」:肛門の周囲に腫瘍ができる病気で、オスのホルモンが関係して起こります。
C性格が穏和になる(これも100%ではありません)。

 早期避妊去勢手術では上記の利点に加えて以下の利点があります。
@メスの場合乳腺腫瘍の発生率が低下する。
 犬では、2回目の発情を終えてからの手術をすると乳腺腫瘍の発生率が26%なのに対し、1回目の発情と2回目の発情の間に行うと8%、1回目の発情の前に行うとなんと0.5%にまで低下するのです。1回目の発情は通常6〜8ヶ月くらいで起こりますので少なくともこれより前に手術を行うとよいでしょう。
 猫では、1〜2才で89%の発生率なのに対し、7〜12ヶ月で14%、6ヶ月未満では9%にまで低下します。猫についても早期の手術が薦められます。
A成犬に比べ術後の回復が早い。
B血管も脂肪も少ないため術中術後の合併症の発生率が低く、安全性が高い。特に大型犬では体重が軽い時期に手術を行うと比較的安価で行える。




 獣医界に限らず医学界やその他の分野でも昔は当たり前と思われていたことが科学の進歩と共に間違ったことになっていることはたくさんあります。 私たちは常に新しい知識や情報を取り入れ、飼い主の皆さんに正確で的確な情報を提供し、自らも実践しなければならないと思う今日この頃です。

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